外部管理栄養士も可能に!栄養改善加算の算定要件と対象者
高齢者の多くは、食欲低下や食事量の減少、嚙む力や飲み込む力、さらには消化や吸収能力といった内部機能の低下等の影響により低栄養状態を招きやすいとされています。
高齢の利用者が多い介護事業所において、そうした低栄養状態、またはそのおそれのある利用者に対して、しっかりとした栄養管理が重要となり、低栄養状態の改善を目指した支援が、昨今では注目されています。
通所系介護サービスでは「栄養改善加算」が算定できます。これは利用者一人ひとりに、しっかりとした栄養アセスメントを行い、栄養改善に向けた最適なサービスを提供した場合にのみ算定が可能です。
平成30年度介護報酬改定により、外部の管理栄養士でも算定が可能になるなど要件が緩和し、通所利用者の栄養改善への取り組みが進むことが期待されています。ここでは栄養改善加算の目的や算定要件、対象者等について解説します。
栄養改善の目的
栄養改善の目的は、必要なエネルギーやたんぱく質等を摂取し、身体機能や生活機能、さらには免疫機能の維持向上を図ることにあります。
栄養改善のプログラムやその事業の最大の目的は、低栄養状態にある高齢者の要介護状態や重症化を予防し、QOLの維持向上につなげることであり、「食べることを支援する」ことに焦点を当てています。
これは、日常生活において「食べる楽しみ」を通じて、高齢者自らが低栄養状態の改善及び重度化の予防を図り、自立した生活を確保することを目指しています。
│生活習慣病の食事管理とは異なり、低栄養の改善が狙い
栄養改善の支援は、従来の「食事管理」とは異なるという点が重要なポイントになります。
従来の「食事管理」では、糖尿病、高血圧、脂質異常症などの生活習慣病の「食事管理」、つまりは過剰な栄養状態にフォーカスして「食事」を制限する方法に偏る傾向にありました。
一方、低栄養改善の狙いは、低栄養状態又はリスクを抱えた高齢者の「食べること」への支援です。それはつまり、食べる意欲を回復したり、家族や友人との外出や買い物、食事の準備等の「食べるということ」を通した社会参加や生きがいづくりにあります。
栄養改善加算は、こうした栄養改善に向けた取り組みを評価した加算となっています。
栄養改善加算の算定可能な事業所と算定要件
栄養改善加算について、算定できる事業所、単位数、算定要件を整理してみましょう。
│栄養改善加算を算定できる事業所
栄養改善加算を算定できる事業所は次の通りです。
- 通所介護
- 地域密着型通所介護
- 認知症対応型通所介護
- 通所リハビリテーション
│算定単位数
算定単位数は要介護と要支援で異なります。
- 要介護1~5 150単位/回(3月以内に限り月2回まで算定が可能です)
- 要支援1及び2 150単位/月(3月以内に限り月1回まで算定が可能です)
│算定要件
算定要件は次の通りです。
- 当該事業所の職員、又は外部の協力を得て、管理栄養士を1名以上配置していること。外部の管理栄養士でも算定は認められ、非常勤でも特に問題はありません。非常勤の場合、サービス提供が滞りなくできる勤務体制を整えていることが重要です。
- 利用者ごとの食事の状態や栄養状態、さらには生活状態を多職種協働により把握し、栄養ケア計画を作成していること。
- 個別の栄養ケア計画に基づき栄養改善サービスを提供し、栄養ケア計画の進捗、栄養状態を定期的に評価していること。
│外部管理栄養士も算定可能に
平成30年度の介護報酬改定では、栄養改善加算の要件が緩和されました。他の介護事業所や医療機関、栄養ケア・ステーションに在籍している外部の管理栄養士でも算定が可能になり、さらには、常勤に縛られることなく、非常勤として自施設以外での兼務も可能となりました。
食事の提供がない事業所や栄養改善に向けた十分な支援ができていない事業所において、管理栄養士が出向き栄養改善の支援を行えるメリットは大きく、通所利用者への栄養改善の取り組みが進むものと期待できます。
栄養改善加算を算定できる対象者
対象者は、以下いずれかに該当する利用者です。
- BMIが18.5未満
- 過去6か月間に3%以上、あるいは2~3kgの体重減少
- 血清アルブミン値3.5g/dl以下
- 食事摂取量が普段と比較して75%以下
- その他、以下のようにして低栄養状態にある又はそのおそれがある者として認められた場合。1)医師が医学的な判断により低栄養状態にある又はそのおそれがあると認めた場合、2)認定調査票の項目や、特記事項、主治医意見書などの情報からサービス担当者会議において認められた場合
栄養改善加算の算定見込み対象者
次のような問題を抱えている利用者は、上記、栄養改善サービス対象者の項目に該当するかどうか、基本チェックリスト(※1)と合わせて適宜確認が必要です。
- 生活機能の低下の問題
- 褥瘡に関する問題
- 食欲の低下の問題
- 閉じこもりの問題
- 認知症の問題
- うつの問題
※1 「地域支援事業の実施について」(平成十八年六月九日老発第〇 六〇九〇〇一号厚生労働省老健局長通知)に規定する基本チェックリスト(別添1)を参照
栄養改善サービスの流れ
栄養改善サービスは、栄養状態の改善等を目的としています。
それは、日常の食事内容や食材の調達、準備、家族とのコミュニケーションといった広範囲な支援内容となり、個別に実施する栄養相談等の栄養管理を通じて、高齢者自らが自己実現を図れるよう支援します。以下に栄養改善サービスの流れについて解説します。
│栄養アセスメント
まず優先されることは、低栄養状態にある利用者の様々なリスクを、利用開始時に把握することです。管理栄養士が中心となって、利用者ごとに食習慣の把握、食事に関する好き嫌いや、食べてはいけないもの、食形態、毎日の食事づくり、買物の状況等を把握します。
また、実際に食品や飲料の食べ方、飲み方を観察したり、口腔内の痛みや入れ歯の不具合、味覚の低下やむせ込みなどの摂食・嚥下障害、さらには閉じこもりやうつ、認知症などの課題の把握に努めます。
│栄養ケア計画の作成
管理栄養士が中心となって、看護職員、介護職員、生活相談員その他の職種と共同で、栄養相談事項や栄養管理上の課題となる事柄について検討し、栄養ケア計画を作成します。
「食事をおいしく食べたい」「食べに行きたい」「友人と旅行に行きたい」といった利用者の「なりたい」、「やってみたい」といった叶えたい意向をもとに目標設定を行い、利用者が主体となって目標を達成できるようになるための栄養改善サービスを提供します。
│栄養改善サービスの実施(相談)
栄養改善サービスは、栄養改善を通じて、生活そのものに働きかけるプロセスを重視しており、双方向のコミュニケーション、つまりは「相談」しながら、利用者の低栄養状態を解決していきます。
利用者自らが栄養改善に対して積極的に取り組み、継続して行っていけるよう動機づけを行い進めていくことも重要となり、栄養ケア計画に基づき、利用者ごとに最適な栄養改善サービスを行います。
│栄養ケア計画の進捗等定期的に評価
およそ3か月ごとに評価を行います。栄養状態や生活機能の状況を把握し、必要に応じてケアマネージャーや主治医に対して情報提供を行います。
また、評価をした結果、継続的して管理栄養士等のサービス提供により、栄養状態が改善していくと認められるものについては、継続的に栄養改善サービスを提供します。
まとめ│自施設で算定できるか検討しよう
栄養改善加算の目的や背景、算定要件等について解説しました。介護予防の観点から、最近では高齢者の低栄養状態の改善を目指した支援が注目されるようになり、30年度の介護報酬改定以降、管理栄養士の柔軟な働き方が可能になったことで、栄養改善に向けた取り組みがますます進められるようになりました。
算定にあたっては人員基準を満たす必要がありますが、職員として配置しなければならなかった従来に比べ、外部との連携により管理栄養士の協力を得られやすくなりました。また、人員に余力がある施設においては、管理栄養士を外部に派遣する取り組みも進められています。
算定要件が緩和されたのにもかかわらず、自施設では算定もせず、検討すらしていないなんてことはありませんか。一度検討されることをお勧めします。
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