延長加算の算定要件は?通所介護のサービス提供時間を詳しく解説
通所介護の目的には、「社会的孤立を解消すること」、「心身の機能の維持向上を図ること」、そして「家族の身体的精神的負担を軽減させること(レスパイト)」があります。
最近は、利用者の自立支援や日常生活動作向上、重症化予防に向けて、「心身機能の維持向上を図ること」ばかりに注目が集まり、機能訓練を積極的に行っている事業所には報酬を引き上げ、逆に、レスパイト機能のみの事業所には引き下げをしていこうとする風潮があるように感じられます。
そもそも通所介護におけるレスパイト機能が、要介護者の継続的な在宅生活を可能にしている背景を考えると、単純に「レスパイトは好ましくない」とする見解は適切ではないように思われます。
通所介護の「延長加算」は、通所介護の長時間化のニーズに対応して家族介護者への支援(レスパイトケア)を促進する観点から創設され、介護報酬改定の度に対象範囲が拡大されてきました。ここでは延長加算算定時の留意点に焦点を当てながら、多様な時間ニーズに対応する通所介護のサービス提供時間について解説します。
延長加算の単位と算定要件
通所介護において7時間以上9時間未満を超えて延長した場合、9時間以上10時間未満から13時間以上14時間未満まで、1時間刻みで計5段階の「延長加算」が算定できます。延長加算の単位と算定要件を確認しておきましょう。
◎延長加算の単位
- 9時間以上10時間未満…50単位
- 10時間以上11時間未満…100単位
- 11時間以上12時間未満…150単位
- 12時間以上13時間未満…200単位
- 13時間以上14時間未満…250単位
◎算定要件
- サービス提供時間が7時間以上9時間未満である
- サービス提供時間の前後で日常生活の世話を行っている
- 日常生活の世話に掛った時間に応じて上記の決められた所定単位を算定する
- 最大14時間まで延長が認められている
◎人員要件
延長加算を行うことが可能な人員体制(人数指定なし)であること。
◎その他の要件
利用者が事業所を利用した後に、宿泊する場合や、宿泊した翌日にその事業所の通所介護の提供を受ける場合には算定できない。
通所介護のサービス提供時間
介護サービスには、施設ごとにサービスを提供する時間が定められており、一般的には朝食を食べた後から夕食前までの9時から17時までを設定している場合が多いのではないでしょうか。
午前と午後の部で分けていたり、3時間程度と比較的短時間のサービス提供時間を設定している場合もあります。また、そうした一般的なサービス提供時間とは別に早朝や夜間など、本人や家族の時間のニーズに応じた通所介護も増えてきています。ここでは通所介護における一般的なサービス提供時間を確認した上で、早朝や夜間、宿泊等の多様な時間ニーズに応えるサービスについても解説します。
│一般的なサービス
通所介護は、日帰りで食事や入浴、機能訓練などを利用できる介護サービスです。サービス提供時間に応じて1日の過ごし方は様々です。
◎通所介護におけるデイサービス提供時間
- 3時間以上4時間未満
- 4時間以上5時間未満
- 5時間以上6時間未満
- 6時間以上7時間未満
- 7時間以上8時間未満
- 8時間以上9時間未満
例えば、サービス提供時間が長い事業所であれば、食事や入浴、レクリエーションなどの他にも自由時間やお菓子タイムなど多数のサービスが提供されます。一方、サービス提供時間が比較的短い事業所であれば、運動のみに特化したサービスを提供している事業所もあります。
◎通所介護の一般的な1日の流れ
- お迎え…送迎車でご自宅までスタッフがお迎えに上がります。
- 健康チェック…到着後すぐに体温や血圧、脈伯等の体調の確認を行います。
- レクリエーション…他利用者と一緒にゲームやカラオケなどのレクリエーション、個人での絵や工作、読書などを楽しみます。
- 機能訓練…入浴を待つ間、個別機能訓練を行います。筋力や柔軟性など身体機能訓練に加え「起きる」「座る」「着替える」など日常生活に必要な動作を練習します。
- 入浴・自由時間…介護スタッフの見守り及び介助のもと入浴又は清拭を行います。身体の状況に応じて(一般・機械)浴槽で安全な入浴を行います。
- 昼食…個人の摂食嚥下機能に合わせ、栄養バランスの取れた食事が提供されます。食後は口腔ケアが行われます。
- 休憩・自由時間…読書や散歩、囲碁や将棋など自由な時間を過ごします。
- 体操…利用者一人ひとりに合った体操やゲームを行います。
- おやつ
- 帰宅
通所を選ぶ際のポイントは、サービス提供時間はもちろんのこと、どのようなサービスを受けられるのか内容を確認してから選ぶようにすると良いでしょう。
│夜間に利用できるサービス
一般的には、上記に示したような日中の時間を過ごすサービスですが、夜間対応型の通所介護もあります。夕方から夜にかけて利用することができ、受けられるサービスは、入浴や食事、レクリエーション等、日中の通所介護と基本的に同じです。
日中の通所介護では午前中に入浴することが多いですが、夜間対応型の通所介護であれば、夜に入浴介助を受けることができるため、「今まで夜に入浴していた」人にとっては、これまでの生活スタイルを変える必要がなく喜ばれます。また、ご家族にとっても、夕方遅くまで仕事をすることができ、さらに、ご家族の急なお出かけにも対応できるなど介護者の精神的な介護負担の軽減にもつながります。
│宿泊可能なサービス
日中の通所介護サービスを受けた後に、そのままその施設に宿泊できるサービスがあります。例えば、介護者の突発的な用事で夜間の介護ができなくなり「ショートステイの予約もとれなかった」場合などにも柔軟な対応ができるため需要の高いサービスです。
ただ、日中に利用する通所介護サービスは介護保険適応となりますが、お泊り通所介護は介護保険に適応しておらず、自費サービスとなるため費用負担が発生します。また保険外のサービスであるため、サービス事業所によって金額が様々ですので利用を検討される際は、事業所に連絡することをお勧めします。
│朝早い時間から利用できるサービス
早い時間から始まる通所介護サービスもあります。利用者は、朝早くにサービス事業所に到着し、朝食、レクリエーション、入浴と昼食のサービスを午前中のうちに済ませるので、午後の時間をゆったりと自由に過ごすことができます。
延長加算の障壁
夜間に利用できる通所介護や早朝から利用者を受入れている通所介護は介護保険における「延長加算」を適応した延長サービスで実施していることがほとんどです。しかし、厚生労働省によれば、延長サービスのニーズが高まっているものの延長加算を算定している事業所は一部に留まっています。その理由としては、早朝・夜間帯の職員の確保が難しいことと一定数の利用者が確保できなければ採算が合わないことが挙げられます。
【Q&Aで分かる】延長加算に関するよくある疑問
延長加算は、基本となるサービス提供時間を超えて算定ができる加算ですが、延長サービスの提供に当たっては、少し分かりにくい点もあります。ここでは、延長加算に関するよくある疑問についてお答えします。
Q│送迎時の居宅内介助は算定できますか?
A:延長加算を算定して差し支えありません。利用者によっては一人で着替えや車いすへの移乗、戸締りなど身支度ができない方もいらっしゃいます。そのような場合、送迎時においても介助が必要となり、延長加算の算定対象となります。
Q│どのような時に保険外の延長サービスになりますか?
A:延長加算は9時間経過後から算定でき、7時間のサービス提供(9時間未満)の場合は、延長加算を算定するために2時間の保険外延長サービスが徴取できます。
また、14時間以上において行われた場合も保険外延長サービスを徴収できます。サービス提供時間が14時間未満の場合は延長加算の算定となります。
まとめ│人材不足で請求業務に手が回らないときは
延長加算は、介護する家族が急な仕事の都合によって帰宅が遅くなってしまう場合や、突発的な夜間の外出をしなければならない時に非常に需要が高く喜ばれます。
ただ、ニーズに応える良い加算であっても、早朝・夜間帯の職員の確保が難しく「人材不足」が影響して実施できていない実情があります。介護サービス事業で働くスタッフは、介護サービスの実務をこなしながら、介護報酬の請求業務等も行い非常に多忙です。「忙しくて細かな請求業務に手が回らない」といった悩みは尽きないと思います。
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