緊急時訪問看護加算の算定要件…介護・医療それぞれの訪問看護を知ろう
近年、症状が安定した後の医療提供の場が病院から地域、在宅へと徐々にシフトしてきました。
在宅医療や在宅介護の需要が増える中、医療や介護を必要とする方が24時間365日住み慣れたご自宅で安心して生活していくためには、夜間や休日など緊急時の対応は欠かせません。
緊急時訪問看護加算は、そうした在宅医療と介護の需要に応えるため、訪問看護における緊急時の相談や連絡、対応まで行える体制を評価した加算です。
ここでは、緊急時訪問看護加算の算定要件に加えて、介護や医療で受けられる訪問看護の違いや特徴についても詳しく解説します。
緊急時訪問看護加算の単位数と算定要件
緊急時訪問看護加算は、本来計画には含まれない緊急時の対応を可能にする「体制」を評価した加算です。つまり、365日24時間緊急時に対応できる体制が整備されていれば、緊急訪問の有無にかかわらず、1か月のうち第1回目の訪問看護の際に所定の基本単位に加えて算定できます。
●事業所別の緊急時訪問看護加算の単位
- 看護小規模多機能型居宅介護…574単位/月
- 指定訪問看護ステーション…574単位/月
- 定期巡回・臨時対応型訪問看護…315単位/月
- 病院又は診療所…315単位/月
●留意点
- 一人の利用者に対して、1か所の事業所のみが算定できます。
- 原則、夜間・早朝・深夜加算は算定できません。しかし、1か月のうち第2回目以降に緊急訪問した場合については、加算算定が可能です。
- 同月に看護小規模多機能居宅介護を利用した場合の当該サービスに当たる本加算は算定できません。
- 医療保険における24時間対応体制加算は併算定できません。
- 緊急訪問を行った場合は、加算を算定する旨を利用者及び家族に説明し、同意を得る必要があります。
緊急時訪問看護加算の算定が可能な事業者
緊急時訪問看護加算が算定できる事業所について紹介します。
│看護小規模多機能型居宅介護
小規模多機能型居宅介護の機能に加えて、看護師などによる「訪問(看護)」を組み合わせた介護と看護の一体的なサービスです。
利用者の選択に応じて、施設への「通い」、短期間の「宿泊」、利用者の自宅への「訪問(看護・介護)」を組合せ、家庭的な環境で馴染みのある住民との交流を通じて日常生活上の様々な支援や機能訓練を提供します。
│訪問看護ステーション
病院やクリニックとは異なり、訪問看護ステーションから直接、訪問看護師が利用者宅に向かい、利用者の健康状態の確認はもちろん主治医の指示書に基づいた採血や尿カテーテル、胃瘻の交換などの処置、在宅酸素や人工呼吸器の管理等を行います。
食事、清拭及び排泄の介助や運動、生活指導、環境調整なども行います。最近は、医療依存度が高い患者が増加しており、難病、がん、小児の利用者の増加とともに利用者のニーズは多様化しています。
│定期巡回・随時対応型訪問介護看護
自宅で生活する利用者が心身の状況に応じて、24時間365日必要な時に必要なサービスを受けられるよう定期的な巡回や必要時の通報によって介護職員だけでなく看護師らが利用者宅を訪問します。
一つの事業所で訪問介護と訪問看護を一体的にサービス提供している場合や、訪問介護事業所が訪問看護事業所と連携してサービスを提供している場合もあります。
│医療機関
病院や診療所等の医療機関に勤務している看護師らが利用者のご自宅を訪問し在宅療養の支援を行います。
24時間対応体制加算との同時算定はできない
公的に訪問看護を受けようとした場合は医療保険と介護保険のどちらかが適用になります。
緊急時訪問看護加算と24時間対応体制加算は、「必要に応じて緊急時の訪問看護を行える体制」を評価した加算であるという点では同じですが、適用される保険に違いがあります。
緊急時訪問看護加算は介護保険であるのに対して24時間対応体制加算は医療保険で算定します。医療保険で算定した場合などは介護保険で算定することはできません。
つまり、24時間対応体制加算を1月のうちに1回算定した場合は、緊急時訪問看護加算は算定できません。月の途中に保険適用が変わった場合は、その月の初回の訪問日に対応する保険が適用されることを覚えておきましょう。
訪問看護とは?
訪問看護は、病気や障害を抱えながらも、安心して安全に在宅生活を送ることができるよう、看護師がご自宅や施設を訪問しながら必要な看護ケアを提供し、自立した生活を送ることができるよう在宅療養を支援します。
訪問看護とはどのような支援をするサービスなのかを見てみましょう。
│訪問看護で受けられるサービス
訪問看護は、主治医と密に連携し、利用する方の希望に沿う形で様々な支援や調整を行います。以下のような看護を提供します。
●健康状態の評価
体温や脈拍、血圧、体重、皮膚の状態などの全身の健康状態を評価します。
●日常生活の支援
清拭、入浴介助、栄養管理や排泄の自立支援、ストーマ管理などの排泄管理を行います。
●心理的な支援
精神・心理状態、睡眠等日常生活リズムの調整等を行います。
●家族など介護者の相談・支援
看護介護負担に関することや健康管理、日常生活に関する相談
●医療的ケア
医師の指示に基づいて点滴、注射、褥瘡、創傷処置等の医療補助行為を行います。経管栄養、留置カテーテル、在宅酸素、吸引、人工呼吸器の管理等を行い、疼痛、血糖コントロール、服薬管理、急変時等の緊急時対応(24時間体制)を行います。
●リハビリテーション
理学療法士らによって、リハビリテーションを実施します。
この他、利用者・家族間の調整や各種サービス提供機関との連絡や調整、住宅を改修する際や福祉用具を導入際等の相談助言を行います。さらに公費負担医療制度、医療費助成制度等の相談や活用支援など多岐にわたります。
│介護と医療における訪問看護の違い
訪問看護は利用する保険が医療保険か介護保険かによって、利用時間や料金が異なります。
◎介護保険の場合
介護保険の利用料金は、基本単位(1単位=10円)に加算を加えて計算します。基本単位は、訪問看護ステーションと病院・クリニックで異なっており、また要支援か要介護かによっても違いがあります。
●訪問看護ステーション
要支援 | 要介護 | |
20分未満 | 3,010円 | 3,120円 |
30分未満 | 4,490円 | 4,690円 |
1時間未満 | 7,900円 | 8,190円 |
1時間30分未満 | 1,084円 | 1,122円 |
理学療法士等 | 2,870円 | 297円 |
●病院・クリニック
要支援 | 要介護 | |
20分未満 | 2,540円 | 2,640円 |
30分未満 | 3,800円 | 3,970円 |
1時間未満 | 5,500円 | 5,710円 |
1時間30分未満 | 8,100円 | 8,390円 |
◎医療保険の場合
医療保険の利用料金は、基本料金と加算で決定され、週の訪問回数で料金が計算されるのが特徴です。
●訪問看護基本療養費(I) ※1日1回につき
・週3日まで…5,550円
・週4日まで…6,550円
●緩和・褥瘡ケアの専門看護師 ※同一日に共同の訪問看護
・12,850円
《同一建物内の複数(3人以上)の利用者に同一日に訪問した場合》
●訪問看護基本療養費(II) ※同一建物居住者、1日につき
・週3日まで…4,300円
・週4日目以降…5,300円
●緩和・褥瘡ケアの専門看護師 ※同一日に共同の訪問看護
・12,850円
《在宅療養に備えた外泊時》
●訪問看護基本療養費(III)
・8,500円
●訪問看護管理療養費 ※1日につき
・月の初日…7,400円
・2日目以降…2,980円
│介護と医療における訪問看護を受けるための条件
訪問看護を利用する際に医療保険か介護保険どちらかを適用させるために、それぞれに利用条件が異なりますので確認しておきましょう。
●介護保険の場合
- 医師から訪問看護指示書の交付があること
- 要介護や要支援の認定を受けた65歳以上の人
- 要介護や要支援の認定を受けた40歳以上65歳未満で厚労省が定める16種類の特定疾病の人
●医療保険の場合
- 医師から訪問看護指示書の交付があること
- 40歳以上で要介護・要支援の認定を受けていない人
- 40歳未満の人
- 要介護・要介護認定を受けている場合であっても「がんのターミナル」や「神経難病」といった厚生労働大臣が定める疾患等に該当すれば医療保険が適用となります
まとめ│現場の負担を少しでも緩和するために
今回、緊急時訪問看護加算の算定要件に加えて、介護や医療で受けられる訪問看護の違いや特徴についても紹介しました。
訪問看護は、在宅医療・介護のカギとなるサービスです。病気等の症状や状態が安定し、療養上の世話が必要な方はもちろん、難病やターミナルの患者、急性増悪の可能性のある患者の在宅生活を支えるうえで、その時々の適切な判断や対応を行う訪問看護師らの役割は非常に重要です。
ただ、最近では、重症患者を早期に退院させる医療機関のしわ寄せを受け、医療依存度の高い患者が増え、そのケアも含めると非常に過酷な現場となってきました。
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