訪問看護における退院時共同指導加算…介護と医療の算定要件は?
突然の病気やけがで入院。慣れない環境で検査や治療を行い、いざ退院……。
となってもスムーズに元の生活に戻れるかというと、そうではないケースが多くあります。
特に高齢者の場合、入院期間中に身体機能の低下や日常生活の不便さが増していることは往々にしてあります。
そのため退院後の生活もスムーズに過ごせるよう、課題の整理と情報の共有を行い、退院に向けてしっかりとした支援づくりが必要です。
この記事では、退院に向けた医療機関と訪問看護ステーションとの連携を評価した「退院時共同指導加算」について、その目的や算定要件、算定する際の留意点等をわかりやすく解説します。
退院時共同指導加算とは
退院時共同指導加算とはどのような加算なのでしょうか。ここでは退院時共同指導加算の目的と算定要件について解説します。
│退院時共同指導加算の目的
病院等に入院中の患者さんや利用者さんが退院後に在宅医療や在宅介護が必要となった場合には、在宅生活へ移行するための切れ目ない支援が必要です。
病院スタッフや在宅を支えるスタッフによる適切で円滑な退院支援がとても重要です。
退院時共同指導加算は、退院前に入院施設と訪問看護が共同して退院後の在宅療養について指導を行います。
これにより患者さんや利用者さんが病院や老健などを退院(退所)した後も、住み慣れた自宅で心豊かに生活を送ることができるよう支援するのが目的です。
2018年診療報酬・介護報酬同時改定では、この「退院時共同指導加算」が報酬増額となったことから、国が在宅への円滑な移行を促すため、医療機関と在宅とのさらなる連携強化を求めていることがよくわかります。
│介護保険における退院時共同指導加算の算定要件
介護保険の退院時共同指導加算は1回につき600単位となっており、算定要件は次の通りです。
- 対象となる患者さんまたは利用者さんが病院や診療所、介護老人保健施設、介護医療院に入院または入所していること
- 退院、退所後に訪問看護を利用する予定があり、患者さんまたは利用者さんとその療養にあたる者に対して在宅療養上必要な説明および指導を行うこと
- 在宅療養の指導は、訪問看護の看護師等と退院施設の医師や看護師、リハビリスタッフ、栄養士等が共同して行うこと
- 指導内容を文書により提供し、訪問看護記録書に記録しておくこと
上記の内容を満たせば加算算定ができます。
│医療保険における退院時共同指導加算の算定要件
医療保険の退院時共同指導加算は1回につき8,000円となっており、算定要件は次の通りです。
- 対象となる患者さんまたは利用者さんが病院や診療所、介護老人保健施設、介護医療院に入院または入所していること
- 退院、退所後に訪問看護を利用する予定があり、患者さんまたは利用者さんとその療養にあたる者に対して在宅療養上必要な説明および指導を行うこと
- 在宅療養の指導は、訪問看護の看護師等と退院施設の医師や看護師、リハビリスタッフ、栄養士等が共同して行うこと
- 指導内容を文書により提供し、記録書に記録しておくこと
上記の内容を満たせば加算算定ができます。
また、次に示す厚生労働大臣が定める特別な管理が必要な患者さんや利用者さんに対して退院時共同指導加算を算定する場合、特別管理指導加算1回2,000円が算定できます。
◎特別な管理が必要な患者・利用者
- 在宅悪性腫瘍等患者指導管理
- 在宅気管切開患者指導管理
- 気管カニューレの使用
- 留置カテーテルの使用
- 在宅自己腹膜灌流指導管理
- 在宅血液透析指導管理
- 在宅酸素療法指導管理
- 在宅中心静脈栄養法指導管理
- 在宅成分栄養経管栄養法指導管理
- 在宅自己導尿指導管理
- 在宅人口呼吸指導管理
- 在宅持続陽圧呼吸療法指導管理
- 在宅自己疼痛管理指導管理
- 在宅肺高血圧症患者指導管理
- 人工肛門、人口膀胱の設置
- 真皮を越える褥瘡
- 在宅患者訪問点滴注射管理指導料の算定
退院時共同指導加算と退院支援指導加算の違い
退院支援指導加算もまた在宅において療養上必要な指導を行った場合に算定できる加算です。
退院時共同指導加算と退院支援指導加算は名称が似ており、どちらも「在宅において療養上必要な指導」を行った場合の加算であるため、混乱してしまう方は少なくありません。
両者の名称は似ていても算定内容はまったく異なっています。
違いはとても簡単で「指導が行われる日」と「指導が行われる場所」にポイントがあります。
退院時共同指導加算は「退院前」に指導が行われるのに対して退院支援指導加算は「退院日」に指導が行われます。
また、退院時共同指導加算は入院施設で指導が行われるのに対して、退院支援指導加算では在宅で指導が行われます。
両者とも訪問看護管理療養費に加算されます。退院時共同指導加算は8,000円、退院支援指導加算は6,000円となっています。
退院翌日以降初日の訪問看護実施の際に算定し、要件を満たしていれば同時算定が可能です。
退院時共同指導加算を算定する際の留意点
退院時共同指導加算を算定する際には下記のような留意点があります。
- 退院後はじめて訪問看護を実施する日の所定点数に加算します。この際に初めての利用であっても初回加算との同時算定はできないこととなっています
- 複数の訪問看護ステーションが共同で指導を行う場合、原則1か所のみが算定できます。加算を算定しない訪問看護ステーションでは初回加算を算定できます
- 前述の「厚生労働大臣の定める状態にある者」については1回の入院につき2回まで算定が可能であり、その際、複数の訪問看護ステーションが共同で指導を行った場合に、それぞれの訪問看護ステーションにおいて1回ずつ算定が認められています
- 介護保険と医療保険の当該加算は併算定できません
- 文章で提供する際には、「実施日」「共同指導実施者」「退院後の療養生活に係る指導や治療の継続に係る指導内容」「初回の訪問予定」を記載する必要があります
まとめ
国は早期の在宅療養への円滑な移行や地域生活への復帰に向けた仕組みづくりに力を入れており、退院時共同指導加算に限らず、他にも多くの加算を整備しています。
加算内容は多岐にわたり、複雑ですべてを完璧に把握して算定できている事業所は多くありません。
「日頃の業務が忙しくて勉強する暇がない」と算定を諦めたり、「取りこぼしているかもしれない」と不安を抱えながら運営していたりする事業所は少なくないようです。
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